| 『初めに』 |
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このブログは管理人のSEIの空想の神々が織り成す物語の小説ブログです。 記事は見にくいですが、章に分かれており、右のカテゴリーから検索いただけます。
素人ですので、つたない文章ですが、どこかで、誰かと、何かのご縁でつながれば、と思っています。
また、自分の世界を表現したいという想いから小説を描き始めたため、イラストも描いております。 挿絵として所々挿入しますが、ご興味を持ってくださった方はリンクのほうからイラスト版『神々の祝詞』をご覧いただけたらさらにキャラクター達に親近感を持っていただけると思います。
SEI
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Friday, 08, Apr 11:17 | Trackback(38) | 『初めに』 | Admin
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| 第16章『神々の本領』1 |
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| 空気が重い。 歴史が、生まれ変わるのだ。太陽の匂いがした。 眩しく、絶大で、慈悲深く、そして残忍。 彼女は気付いているだろうか。この、世界の改竄に。 「ヴァン。今日朽ちるはずだったあなたの歴史。改竄する“もう一人の神”がこの地に堕ちてきたようですよ。」
目が覚めた時、冬の匂いがかすかに青年の体にしみ込んだ。そして、温かい闇に囲まれて青年はほほ笑む。 海の香り。闇の鼓動。台地が、森が歌う。失われたあの優しい歌を。 青年は軽やかに起き上がると歩きだした。 鬱蒼と覆い茂る森の木立の間を抜けるかのように太陽がきらきらと葉上を踊り、青年を照らした。
「父上!!!!」 「誰が父上です!!!陛下!!!」 すかさず帰ってきた反論の声に少し安心してからヴァンはジャンフォーレ卿の部屋に飛び込んだ。すぐさま卿を襲っていた兵士を力任せに切り捨てる。 「ご無事ですか!?」 卿は腹を切られていた。致命傷とは言わないが、出血がひどいため、このまま放っておけば危険極まりない。 「なぜこんなところに!」 「お話は後です!」 そういうとヴァンは卿を軽々と担ぎあげた。 「何者だ!!」 部屋に飛び込んできたナスラ兵をヴァンは凄まじい形相でにらんだ。 「人の屋敷に忍び込んでおいて何を偉そうに!隣国の王の顔も忘れたか!ナスラの愚民が!帰って指揮官に告げるがよい!ヴァラスの王が、父を侮辱され、ご立腹だとな!!!!!」 「馬鹿な・・・・!!!!」 次々と集まってきた兵士たちが何やらざわめく。 「ヴァラス王だ!!」 「こいつを倒せば大手柄だ!」 「恩賞が出るぞ!」 「かかれ!!」 ヴァンは何と言ってもかなりの巨漢だ。2メートル近くある巨躯を見て物おじしていた兵士たちも仲間の言葉にあおられるかのように一斉にヴァンに襲い掛かる。 「なめるな!!!」 ヴァンの力任せの大剣が振るわれた。ただまっすぐな怪力で振るわれる剣はあっという間に敵をねじ伏せ、一瞬ののち、そこには血の海が広がる。 一斉に残りの兵士たちが逃げ出した。 「撤退!撤退だ!!隊長に報告だ!!!」 逃げていく兵を見ながらも、背中に広がっていく生温かい血の感触を感じながらヴァンは舌打ちをした。 早く近隣の町に運んで手当しなければ。父の鼓動は次第に弱くなって行っていた。
「砦の様子が・・・おかしくはないか?」 一人の兵士が隣の兵士につぶやいた。 「ああ、陥落でもしたんだろう。」 「いや、なんか、火の手が上がらなくなった。放火が終わったのかな?」 「隊長に・・・ん?」 ナスラ兵は目を見張った。 兵士たちが待機している軍隊の前に、小さな少女が現れたのだ。 不思議な少女だった。まるで、森の一部のように自然で、ふっと湧いて出たかのように急に姿を現したのだ。
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Friday, 08, Apr 11:12 | Trackback(0) | Comment(0) | 第16章 | Admin
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| 第16章『神々の本領』2 |
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| 見たところ農民のようななりをしているのだが、腰にはいびつな剣を下げている。偽物とも思えないその剣は少女が持つにはあまりにも大きすぎるし、大人でもあんな大剣を携えるのは大男位のものだ。 そしてその剣には宝玉が無数に埋め込まれ、塚の部分には太陽を象った鋳型の飾りに水晶がきらめいている。 その額には見たこともないブルーの宝玉が嵌められた額輪が嵌められ、伏せ目だった少女が目をひたいた。 同時に少女は頭を覆っていた小汚い白い布を取り払った。風が吹いた。少女の髪が風にあおられて大きく舞い上がる。 森の影の中で不思議な色の瞳が僅かに黄金に光った気がした。息をのむ兵士たち。 見たこともない漆黒の髪。金色に時たま光る黒曜石の瞳。顔をあげた少女は、あまりにも美しかった。 ナスラの魔物とは違う息づくような美しさ。 とたんに馬たちがいななき始めた。そして、まるで百獣の王を前にしたかのように僅かに畏れた様子で少女を見つめる。異常な事態と、不思議な少女に、不気味さを募らせ、兵士たちは剣を抜いた。その時だ。 アカリノの町から一人の兵士が馬でかけてきた。 「隊長!王です!ヴァラス王が城に・・・!」 少女の体が舞った。漆黒の影は、一瞬にして兵士の喉をかき切った。最期まで言葉を喋れなかった兵士は、おそらく自分が殺されたことさえ気付かなかったのだろう、疑問の表情のまま馬から転がり落ちた。 一斉に視線が少女に集まった。小さな少女の腕にはいつの間に引き抜いたのか一振りの大剣。それを軽く振って少女は大剣についた血を振り落とした。 「隊長!砦が!」 「よし、全軍いけ!!!」 号令と共に少女の姿が疾風と化した。手当たり次第に敵を斬り倒す。 「ヴァンのところには行かせない!」 少女が叫んだ。漆黒の影は、無慈悲に、的確に兵士の首を落としていく。その返り血をよけながら、少女はもう一度叫んだ。 「歩を止めよ!私の声が聞こえるなら、私を畏れよ!!!!!」 その途端だ。走り出していた馬たちが一斉に歩を止めた。勢い余って兵士たちが馬から振り落とされる。 その間にも少女は剣をふるい続け、もう一度叫んだ。 「聞け!友たちよ!私を助けてくれ!」 ナスラ兵たちが援軍を畏れ、身構えた。 「ええい!!!!何をしておるのだ!こんな小汚い小娘一人に何を手間取ってい・・・」 怒り散らそうとした隊長らしき人物の視線が凍った。 囲まれていたのだ。 彼らは囲まれていた。 森に巣くうオオカミやジャッカル、ハイエナ、大型のイノシシや山猫、その他の恐ろしい猛獣たちに。そして空からは・・・ 巨大な羽音がした。空から大量の何かが兵士たちを襲った。鷹や鳶、鷲、フクロウや禿鷹、カラス、昼間にいるはずのない大型の蝙蝠までが、一気に兵士たちをめがけて急降下してきたのだ。 それを合図にしていたかのように一斉に猛獣たちも兵士たちに飛びかかった。 たまったものではない。こんな怪奇現象の餌食になったのでは、逃げるしかないのだ。しかし逃げることは許されない。 「娘だ!娘を殺せ!!!!!」 指揮官の怒声が響いた。
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Friday, 08, Apr 11:03 | Trackback(0) | Comment(0) | 第16章 | Admin
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| 第16章『神々の本領』3 |
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| 「ヴァラス大国のヴァン陛下とお見受けする。どうかわが軍と共にナスラまでご足労願えないでしょうか。」 冷静な指揮官の言葉に、ヴァンは鼻で笑った。 「ふん、ふざけるな。俺の父上を半殺しにしといて、そのうえ俺に命令しようなどおこがましいにも程がある。俺はこの国の王だ。力でねじ伏せるような汚い国に、服従するつもりはない!」 「今のあなたの状況が分かっていらっしゃらない。」 小馬鹿にしたように男は言う。 ヴァンは今、アカリノを襲っていたナスラの小隊の指揮官とその部下20人近くに囲まれている。確かにもう勝ち目はないだろう。ヴァン一人なら切り抜け逃げることもできようが、背中には父がいる。 「私を捨て置いてください、ヴァン陛下。」 途切れるように力ない声でジャンフォーレが言った。ヴァンははっと顔を上げたが、聞こえないふりをし、剣をもう一度構えた。 「ほう、わかっていただけないとは残念です。失礼ですが、強制的に連行させていただきます。」 一斉にナスラ兵も抜剣した。張り詰めた緊張感が場を支配した瞬間だ。 「あのー。」 間抜けな声が響いた。 一同はぎょっとした。 確かにナスラ兵たちはヴァンを囲むようにしていたはずだ。なのに―――――。 なのにヴァンの隣には、青年がいた。 まるで、天から太陽の天使が落ちてきたかのような青年が。 ヴァンも腰が抜けそうなほど驚いた。 波打つ黄金よりも美しい金色の髪。白く大理石のように透き通った肌。僅かに紅潮する頬に、通った鼻筋、花のような唇。 均衡のとれた美しい体を神話の神のような真っ白な長いトーガで包んでいる。靴は履いていないので、足がずいぶんと汚れていた。そして腕と額には緻密な金細工に七色に光る黒曜石のような不思議な石の嵌めこまれた腕環と額の輪をしている。 その額輪があまりにも漆黒の少女のものに似ていたため、ヴァンは思わず息をのんだ。 そしてその背中には、見たこともない、弥葉刀よりも長い長剣。 何よりも印象的なのは・・・・サファイアを切り取って嵌めこんだかのような真っ青な輝くひとみ。美しいその瞳を黄金のまつ毛がびっしりと所せましと囲っている。 突如現れた青年はほほ笑んだ。 それだけで、空間が妙な色香に満ちたようだった。じりじりと反射的に敵が後退去る。 「聞きたいんだけど、黒い女の子を知らない?」 “黒い女の子”。その言葉の意味する人物に思い当たり、こんな緊張した場面だと言うのに、思わずヴァンはほほ笑んだ。 「まさか、お前が、あいつの言っていた“相方”か?」 この言葉に初めて青年はヴァンに目を向け、意外そうに目を丸くして、何か言いたげな顔をしたがやめた。 ヴァンはと言えば、思わぬ美貌に見つめられ、奇妙な気持ちになったが、その少女の名を口にした。 「リリラなら俺と一緒に此処に来ている。」 さらに青年の目が丸くなる。くるくると変わる表情が実にかわいらしいと、こんな場面でも思ってしまうのだから不思議だ。 「味方?」 短くそう聞く青年に、ヴァンは首をかしげた。 「そうさなぁ、断言はできぬが、リリラは味方をしてくれると言ってくれた。世界で一番美しい言葉だったぞ。」 その言葉に、青年はさらに意外そうな顔をしたが、やがて声を立ててかわいらしく笑った。 「はははは!そりゃいいや!じゃぁ、僕も、君の味方だよ。」 そういうと、すらりと背中の剣を抜いた。異常に長い剣の刀身には、惜しげもなく宝玉がちりばめられてある。 「紹介するよ。美人でしょ?僕の神の遺産、“聖剣ラフィネ”。」 そういうと青年の姿が掻き消えた。ヴァンの視界を黄金の絹のような髪がちらつく。青年の剣は正確だった。ためらいも、恐れもない。異常なほどに長い刀身は、一振りで三人を葬った。 信じられなかった。天使のような青年が、ほほ笑みながら剣をふるう。それは、まるで人間に裁きか救済を与える神のようだった。 気付けばその場に立っているのはヴァンと青年だけだった。青年は返り血ひとつ浴びず、振り返りほほ笑む。 「リリラのもとに案内して。後、その人・・・もうじき死ぬよ。」 背中の父を指差され、ヴァンは蒼白になった。しかし青年はこんなことをも言った。 「でも。もしかしたら、僕とリリラの力が合わされば、その人を助けてあげれるかも知れない。」 その言葉にヴァンは膝をついて頭を垂れた。 「なんでもする!俺の命を差し出してもよいから、どうか、親父殿を助けてくれ!お願いだ!」 まっすぐな瞳に、天使のような青年は笑みを深くした。 「約束はできない。でも最善は尽くすと約束するよ。だから、彼女のもとに僕を導いて。」 青年が笑った。遠くの森がざわめいた気がした。
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Friday, 08, Apr 11:02 | Trackback(0) | Comment(0) | 第16章 | Admin
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| 第16章『神々の本領』4 |
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| 「早く!娘を殺せ!!!」 今や一斉に兵士たちはリリラに襲いかかってくる。此処で兵士たちと戦いだして20分が過ぎた。さすがのリリラも疲労が隠せない。上がった息で悪態をつく。 「くそ!」 しかし兵士たちをアカリノへ行かせるわけにはいかない。周りには人の死体だけでなく、力になってくれた獣たちの死骸も転がる。苦々しく思いながらも剣をふるっていたリリラが一瞬バランスを崩した。死体を避けようとしたところで足がふらついたのだ。その瞬間だ。目の前の兵士が大きく剣を振りかざし、リリラに振り下ろした。 (まずい!!!!) リリラの防御が一瞬遅れた。命取りのその一瞬を悔やんだ瞬間だ。頭上から何かが降ってきた。 懐かしく、切ない、その見覚えのありすぎる香りがリリラを包んだ。此処に、いるはずがない、彼女の天使。 彼女をだき力強く引き寄せた。驚愕に見開いた目が閉じられなかった。降り立った黄金の影は素早く背中から長剣を抜き放ち、いましがたリリラを殺そうとした兵士に振り下ろした。 そしてリリラを離すと、向かい来る兵士を見つめ、壮絶に笑った。 そうすると不思議なことに今まで少女に加担していた猛獣や鳥類までまるでこの青年を畏れるかのように一目散に逃げ出したのだ。 残った兵士たちの動きも止まる。 まずこの青年が突然現れた恐怖と、今見た斬撃に対する恐怖、そして、何よりその美貌に対する恐怖。それが兵士たちを凍りつかせていたのだ。 その原因の青年は、天使のように笑った。 「今の僕は、機嫌が悪い。この森ごと、この世界ごと破壊したいよ。やっと見つけた僕の“光”を、君たちみたいな豚どもがこの僕から奪い去ろうとしていたんだから。」 その言葉の異常性に気付いた兵士たちが逃げようとした瞬間だ。何かが彼らの合間をぬぐい、正確に腹を掻っ捌いた。 交差するように黄金と漆黒の風が彼らの間を駆け抜ける。足元をすくわれるもの、腹を掻っ捌かれるもの、首を落とされる者、そこは一瞬にして地獄絵図になった。 10分後。そこに立っているのは対照的な二人だった。 小さな漆黒の闇ような少女。そして長身の太陽のような青年。 二人は向かい合うと互いにその美顔に笑みを浮かべ、そして勢いよく抱き合った。 「ネフィア!!!!!!」 ネオは言葉を無くしたかのようにしばらく沈黙ていたが、やがて少女を突き飛ばした。 「遅い!!」 「?」 「遅いよ!!もっと早く呼んで!」 青年の我がままに苦笑してから少女は思いっきり青年に再度抱きついた。 「ネフィア。ネフィア、会いたかった。」 「僕もだよ。まるで・・・闇の中で砂金を探すような絶望感だった。」 「悪かった。」 「もう、いかないで」 臆病な青年の言葉に苦笑してからその頭をなで、いい香りのする黄金の髪に顔をうずめてリリラは言った。 「ずっとそばにいるさ。私の名は・・・私の魂の名は、“セレスティア”。」 その名にネオは目を見開き、やがて和やかに笑った。 「不思議だな、ネフィアとセレスティア、まるで真の神々と同じ名前だ。」 お茶らけて言った少女。そんな少女を見ながら青年は口の中でつぶやく。 「全然不思議じゃないよ。必然通り。」 「?なんか言ったか??」 「何も?」 青年は笑ってもう一度少女を抱きしめた。 「セレスティア・・・無事でよかったよ。」 リリラはその呼び名に少しくすぐったそうに笑った。やっと教えることができたのだ。彼女の本当の、魂の名を。彼だけが呼ぶことを許される約束の名を。
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Friday, 08, Apr 11:02 | Trackback(0) | Comment(0) | 第16章 | Admin
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